ウォーターロジックの創業から、
UV(紫外線)を利用した「ファイヤーウォール®」技術の
開発の経緯など、
詳しく紹介しております。
そんなある日、いつものとおり二人で出張している折、空港のラウンジでこの問題を話し合っているとき、ふと二人の頭に" らせん" のイメージが湧き、すぐにメモ用紙にそのイメージを走り書きしました。
もしUV ランプの回りに、ガラス管をらせん状に配置し、さらに反射板を使って吐水口の先端までUV 光を照射することができたら…。らせん状になっていることで、水流を制限することができ、水流が回転することでUV 光の当たる角度をまんべんなく変えられる…、あとはガラス管の径で水流の速度をコントロールできる…。さらに、ただのガラス管ではなく、もっとも光の透過率の高い石英管(クリスタル・ガラス)を使ったらどうだろう…。
なさっそく二人は、このアイデアを元に開発に入りました。試行錯誤の末、ようやく実用に耐えうる試作品の開発に成功しました。そして、" 雑菌をシャットアウトする意味で、" ファイヤーウォール®"(日本語訳では、" 防火壁" )と名付けました。
次の課題は、どうやって高い除菌効果を市場で一般にアピールするかです。もちろん自社のラボ(試験室)では、100%近くの除菌効果を確認していましたが、この技術だけは「自社調べ」というマーケティングの" バズワード(陳腐化した常套句)" を使うことには納得できませんでした。なぜなら、この技術こそが浄水器の長年の技術課題を克服する、まだ世界のどこにもないキラー・ソリューションだったからです。
常に完璧を求めるWaterlogicの飽くなき探求心は、ここからさらに発揮されることになります。
" ファイヤーウォール®" 技術を完成させた二人のエンジニアの次の課題は、" 自社調べ" などという公平性に疑問が残る試験結果ではなく、誰もが納得する権威を背景とした認証を取得することでした。
このため、まずは欧米の主要な水質試験・研究機関にて何万回におよび徹底的な除菌効果に関する試験を行い、そのすべてにおいて素晴らしい成果をおさめることに成功しました。これで、" ファイヤーウォール®" の効果に対してますます自信を深めていったのです。
しかしながら、まだ十分ではない。いかに欧米の著名な研究機関や大学教授のすばらしい評価や見解があっても、それらの機関の名称や、教授の名前が知られていない多くの国々では、あまりにインパクトが弱すぎる。ましてや、そのようなアピール手段がほとんど陳腐化している日本のような成熟した市場では、かえって胡散臭くとらえられかねないのではないか…。
結果、「逆汚染に対する最終的なソリューションともいえる" ファイヤーウォール®" の効果を、世界で認知してもらうためには、いかに欧米の著名な研究機関での試験結果があるとはいえ、まだ世界中の誰もが納得する権威を背景としたものとはいえない。」との結論にいたったのです。
" 世界中の誰もが納得する権威"・・・。
この要件を満たせる可能性があるのはWHO(世界保健機関)などの国連機関による認証です。しかし、当時のWHO にはまだその要件に該当する、安全な飲料水に関しての認証制度はありませんでした。(その後、2014年に、「家庭用水処理技術を評価する国際制度」(InternationalScheme to Evaluate Household Water Treatment Technologies) という評価制度が制定され、Waterlogic もその最初の評価ラウンドに参加し、高い評価を得ています。⇒「ウェブコラム:WHO 世界保健機関「家庭用水処理技術を評価する国際制度」」参照」)
また、あったとしても商業用途としてアピールすることには制限があるため、世界に広く認知してもらうという要件をクリヤできません。となると、その答えは世界にひとつしかありませんでした。
それは、米国環境保護庁(United States Environmental Protection Agency= EPA)の制定する「US EPA Standard for Microbiological Water Purifier (04/01/1987)」(弊社和訳タイトル、" 微生物学的ウォーター・ピュリファイヤー(≒浄水器※後述)に関する米国環境保護庁標準" )です。
この標準は、微生物学的に汚染されていることが明確な水を飲料水にするために開発された浄水器の除菌能力に関わるものです。また、このEPA 標準は、2003年に、米国の非営利第三者認証・規格開発機関であり、公衆衛生安全および環境保護においてその多くの規格がANSI(米国規格協会※日本のJISに相当)に採用されているNSF インターナショナルによって、NSF P231(NSF プロトコール231)として規格制定されてもいます。
このEPA 標準およびNSF P231は、世界中の過酷な地域で活動する人々の飲料水調達とその健康に直接的に影響を与える規格(標準)であることから、決して簡単にクリヤできるものではなく、数年に亘る非常に過酷な試験を、繰り返しパスしなくてはなりません。
そしてこの2つの規格(標準)こそ、常に完璧を求めるWaterlogic の飽くなき探求心と、逆汚染に対する最終的なソリューションともいえる" ファイヤーウォール®" 技術にとって、挑戦せずにはいられない最高の舞台となったのです。
※"Water Purifier" を浄水器と訳さずに、" ウォーター・ピュリファイヤー" と表記したのは、両者が同等とは言い難いためです。日本においては、" 浄水器" は特にそう名乗るための要件はありませんが、欧州や米国(州政府)では、単にフィルターがついているだけではpurifier と名乗ってはいけないという条例などの制限が課されている事例が増えてきているためです。